第1子を自然妊娠で出産したとしても、2人目不妊となるケースは珍しくありません。妊娠・出産の経験があるとはいえ、夫婦が抱く不安は少なくないのではないでしょうか。仕事に育児に家事にと忙しい中、不妊治療に挑むことは簡単なことではないかもしれません。2022年4月からは人工授精や体外受精についても新たに公的医療保険が適用されることになりました。一方で、保険診療を受けるには、医師の治療計画の説明を夫婦などがそろって受けることも原則必要となりました。本特集ではそうした最新動向も踏まえた治療の流れや支援制度のほか、スムーズに治療を進める上で夫婦間や職場との関係において押さえておきたい課題などを解説します。

まさか?! 2人目不妊の道のり

「まさか自分たちは大丈夫」と思っても受診を

 2人目の子どもがなかなか授からない2人目不妊。2人目不妊に直面する夫婦の中には、1人目も不妊治療によって授かっている人だけでなく、1人目は自然妊娠だったという人もいます。

 「1人目が自然妊娠だった夫婦ほど『まさか自分たちに限って大丈夫なはず……』と思いがちで、なかなか受診するきっかけがもてないかもしれません」。こう話すのは浅田レディースクリニックの体外受精(IVF)コーディネーター、園原めぐみさん。IVFコーディネーターとは体外受精や顕微授精といった高度生殖医療を受ける患者に向け、情報提供やカウンセリングを行う専門職です。

 「1人目が自然妊娠だった場合で2人目不妊になることを、不思議に思う人もいるかもしれません。でも、もしかしたら1人目はたまたま授かっただけかもしれない、夫婦生活のチャンスが少ない、さらには、前回妊娠したときに比べてママの年齢が高くなっている……など、2人目ができにくい理由はいろいろ考えられ、不思議なことではありません」

 「まさか自分たちに限って大丈夫だろう」と思う人も、2人目を希望しているのに妊娠しにくい、と感じた場合はクリニックを受診してほしいと園原さんは言います。

 「妊娠に関しては女性の年齢がシビアに関わってくるので、女性の年齢が30代後半であれば、一般の産婦人科ではなく最初から不妊治療の専門クリニックを受診してほしいです。さらに40代ということであれば、すぐにでも受診することをおすすめします。不妊治療は、女性の年齢との闘いという側面もあるからです」

 とはいえ、第1子が自然妊娠だった場合、どのような治療を行うのかなど、分からないことも多く、不安なはず。不妊治療は数カ月、長い場合は数年にもおよぶこともある一方で、お金や時間をかけたからといって必ずしも子どもを授かるとは限らないという点も大きな特徴です。時に精神的にも非常にハードなものとなる不妊治療を受けるにあたり、患者にとってハードルとなる大きなポイントが「時間」「お金」「治療への抵抗感」の3つだと園原さん。特に抵抗感を乗り越えるためにも、治療をスタートするにあたっては、夫婦での心構えが必要だといいます。

 さらに今年(2022年)の4月からスタートした保険診療で「自己負担額以外にも夫婦そろっての受診が必要なタイミングができるなど、以前とは変わった点もある」と園原さん。「1人目を不妊治療によって授かっていて、治療内容について知っているという人でも、保険診療がスタートしたことにより、以前と何が変わったのかは把握しておくといいでしょう」と話す園原さんに、詳しく聞いていきます。

この記事で読める内容

・治療は女性の年齢との闘い。時間を無駄にしないために、スタートの段階で注意すべきことは?

・ワーママが2人目不妊のクリニック選びでチェックすべきポイントは?

・保険適用後、夫の出番が増え、治療の選択肢は縮小

・「病院には妻1人で行ってもらうけど、子どもの面倒は自分がみる」は「夫婦で治療を背負うこと」にはなっていない