物価高が続き、社会保険料も年々増加の一途。コロナ下で家計悪化の懸念も大きくなるばかりです。一方で、少子化などを背景に「教育の質」に関心が高まり、首都圏では中学受験が過熱傾向にあるなど、「子どもへの手厚さ=教育費の負担増」となって、共働き家庭に重くのしかかっています。子どものためだからと、つい聖域にしてしまいがちな「教育費」ですが、長きにわたり子どもの将来をサポートしていく上で、必要となるお金はどれくらいになるのでしょうか。この特集では、マネーや教育のプロたちに話を聞き、これから私たちにふりかかる教育コストについて、様々な角度から検証していきます。晩婚、晩産化が進むなかで無理なく教育資金をためるには? 意外に家計を圧迫する想定外の「隠れコスト」とは? 最新の教育費事情を踏まえて、各家庭にとって教育費の「最適解」や将来後悔しないためのヒントを探ります。
「教育費」への配分、正解は?
「教育費」への配分、正解は?
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1塾代と学費で考える 年収1250万円世帯の中学受験
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2晩産家庭は大学進学までに子1人500万円の貯蓄を←今回はココ
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3子どもの習い事費を膨らませるのは親の焦りと成果主義
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4隠れ教育コストの大敵は親の「何となく」 どこに注意?
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5ママFPが教育費を「聖域」にしないためにやったこと
教育にどこまでお金をかけられるのか――。その疑問に応えるべく、特集2本目の記事「塾代と学費で考える 年収1250万円世帯の中学受験」に続き、年収1250万円世帯をモデルケース(※)に考えていきます。教育にかかるリアルな費用を把握するために押さえるべきポイントを、IFA法人ガイアに所属するファイナンシャルプランナー(FP)の新屋真摘さんに聞いていきます。
※ 夫の年収650万円、妻の年収600万円(新型コロナウイルス下で夫の勤め先の業績が低迷し、賞与がカットされたことにより、年収が100万円ダウン。祖父母などからの教育費の援助はなし)、夫39歳・妻36歳で第1子、夫41歳・妻38歳で第2子が誕生した世帯をモデルケースに、FPの新屋さんがシミュレーションし、分析した
子どもの進学に関しては想定外の事態が次々と起こるもの
まず、教育費の基本的な考え方について理解しておきましょう。
「大学進学に備えて、月々の積み立てで子ども1人当たり300万円を大学入学前までにためておき、かつ高校までの教育費は毎月の家計費の中からやりくりするのが原則です」
そう話すのは、これまで年間200件以上ものマネー相談で教育費に関してアドバイスをしてきたFPの新屋さん。「ただし、子どもの進学に関しては想定外の事態が次々と起こるもの。思わぬ出費に頭を悩ませるご家庭がとても多い」と言います。
新屋さんの言う「想定外の事態」とは、例えば下記のようなことです。
子どもの進学に関する「想定外の事態」
物価高を受けて中高・大学の学費や施設費が値上がり
【夫51歳・妻48歳】
中学受験を検討し始めた小3の頃に調べた金額に比べて、中高の学費が値上がりしている。さらに大学の学費も自分たちの頃と比べて上がっており、貯金で賄えるか不安。
部活代が意外と高額
【夫54歳・妻51歳】
私立中に合格した第2子が吹奏楽部に入部。月々の部費、コンクール前の外部講師のレッスン料、合宿費に加えて、担当楽器を購入することとなり、トータルで約30万円の出費に。
第1子が医学部に行きたいと言い出して浪人
【夫57歳・妻54歳】
第1子(18歳)が国立大医学部を目指して浪人することに。医学部専門予備校の学費は年間で約300万円(一般の予備校は約100万円)。もし私大医学部しか合格できなければ学費は6年間で2000万円以上になり、奨学金を借りても対応できない……。
第1子が遠方の大学で一人暮らし
【夫58歳・妻55歳】
第1子が地方国立大の医学部に合格。一人暮らしをスタート。毎月約8万円、年間で約100万円の仕送りをすることに。6年間の学費約350万円と、賃貸住宅の初期費用・引っ越し代約40万円を含めると、6年間で第1子にかかるお金は約1000万円(※)に。大学進学費用としてためていた500万円では足らず、貯金を取り崩すはめに……。
※一人暮らしへの仕送り、自宅外通学を始めるための費用については、日本政策金融公庫「令和3年度『教育費負担の実態調査結果』」を基に概算
第2子が高校で短期留学
【夫58歳・妻55歳】
国際系の進路を目指す第2子が、高2の夏休みに1カ月の短期留学、出費は60万円。定年も近く、第1子の仕送りもあるし、出費続きで不安。
夫が退職する年に第2子が長期留学!
【夫60歳・妻57歳】
夫(60歳)が退職した年に、第2子(19歳・大学生)が留学することに。退職金を老後資金に充てるはずが、留学費用の300万円の支出が発生。老後資金、このままで大丈夫……?
【夫51歳・妻48歳】
中学受験を検討し始めた小3の頃に調べた金額に比べて、中高の学費が値上がりしている。さらに大学の学費も自分たちの頃と比べて上がっており、貯金で賄えるか不安。
部活代が意外と高額
【夫54歳・妻51歳】
私立中に合格した第2子が吹奏楽部に入部。月々の部費、コンクール前の外部講師のレッスン料、合宿費に加えて、担当楽器を購入することとなり、トータルで約30万円の出費に。
第1子が医学部に行きたいと言い出して浪人
【夫57歳・妻54歳】
第1子(18歳)が国立大医学部を目指して浪人することに。医学部専門予備校の学費は年間で約300万円(一般の予備校は約100万円)。もし私大医学部しか合格できなければ学費は6年間で2000万円以上になり、奨学金を借りても対応できない……。
第1子が遠方の大学で一人暮らし
【夫58歳・妻55歳】
第1子が地方国立大の医学部に合格。一人暮らしをスタート。毎月約8万円、年間で約100万円の仕送りをすることに。6年間の学費約350万円と、賃貸住宅の初期費用・引っ越し代約40万円を含めると、6年間で第1子にかかるお金は約1000万円(※)に。大学進学費用としてためていた500万円では足らず、貯金を取り崩すはめに……。
※一人暮らしへの仕送り、自宅外通学を始めるための費用については、日本政策金融公庫「令和3年度『教育費負担の実態調査結果』」を基に概算
第2子が高校で短期留学
【夫58歳・妻55歳】
国際系の進路を目指す第2子が、高2の夏休みに1カ月の短期留学、出費は60万円。定年も近く、第1子の仕送りもあるし、出費続きで不安。
夫が退職する年に第2子が長期留学!
【夫60歳・妻57歳】
夫(60歳)が退職した年に、第2子(19歳・大学生)が留学することに。退職金を老後資金に充てるはずが、留学費用の300万円の支出が発生。老後資金、このままで大丈夫……?
こういった想定外の出費に備えて、知っておきたいこと、押さえておきたいポイントを詳しく聞いていきます。