新春スペシャル対談「これが私たちの生きる道」
-
1林真理子×勝間和代「私は日大理事長に向いてたと思う」
-
2林×勝間 50代以降はお金をもらわない仕事を増やす
-
3菊間千乃×奥本直子 「思い続ける」とある日道が開ける
-
4ウェルビーイングを意識しない企業は変化に取り残される←今回はココ
-
5折原みと×ひうらさとる 現役であるために変えないこと
-
6折原みと×ひうらさとる「推し」「萌え」こそ大人に必要
弁護士の菊間千乃さんと米国でスタートアップ投資を行う奥本直子さんによる対談の話題は、奥本さんの専門であるウェルビーイングへ。今、ウェルビーイング・テクノロジーの市場が大きく成長しているのはなぜか。そして、企業がウェルビーイングを意識した経営を行わなくてはいけない理由とは。会社で働くことに対する若者世代の考え方に注目しつつ、「個の尊重」と「組織のパフォーマンス」の両立について考えます。
コロナ禍で人々が自分のウェルビーイングを意識するように
菊間千乃さん(以下、菊間) そもそもの話なんですけど、なぜ近年、こんなにウェルビーイングが注目されるようになったのでしょうか。こういう概念って昔はなかったわけですよね。
奥本直子さん(以下、奥本) それはやっぱり新型コロナウイルス禍の影響はあるかもしれないですね。
ずっと家にいて、病気になるかもと心配したり、社会と断絶されたり、となったときに、孤独や不安を覚える人が増えてきました。また、人とのつながりが減ってしまった中で、「私が仕事をしている意義は何?」「会社に対してどう貢献できているの?」「上司とうまくコネクションが取れていない」などと悩む機会も増えました。ウェルビーイングは、肉体的、精神的、社会的に満たされた幸せな状態をいいますが、新型コロナ禍の中で、多くの人々がウェルビーイングな生活を実現するのが難しい状態に置かれました。
ウェルビーイング・テクノロジーは今、世界で750兆円の市場といわれていますが、皮肉なことに、新型コロナ禍によって規模が拡大したと言えます。ウェアラブル機器やアプリを通して取得したデータを元に心身の状態を整えるために、テクノロジーへ人々の興味が向かいました。例えば、新型コロナ禍で隔離生活を余儀なくされ、孤独になることにより、心のバランスを崩される方が増えました。そこで、オンライン上でセラピーが受けられるようなアプリや、心を整えるための瞑想や呼吸法のアプリなどの利用が爆発的に増加しました。
菊間 新型コロナって長い歴史の中で見ても大きなことだから、きっと100年後に「あれが人間らしく生きることを取り戻すきっかけになった」と振り返るような転換点になるのかもしれないですね。