新春スペシャル対談「これが私たちの生きる道」
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1林真理子×勝間和代「私は日大理事長に向いてたと思う」←今回はココ
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2林×勝間 50代以降はお金をもらわない仕事を増やす
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3菊間千乃×奥本直子 「思い続ける」とある日道が開ける
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4ウェルビーイングを意識しない企業は変化に取り残される
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5折原みと×ひうらさとる 現役であるために変えないこと
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6折原みと×ひうらさとる「推し」「萌え」こそ大人に必要
元理事長の不祥事に揺れた日本大学で2022年7月、初の女性理事長に就任した作家の林真理子さん。経済評論家・勝間和代さんとは、各分野のエキスパートが集うボランティア組織「エンジン01(ゼロワン)文化戦略会議」を通じて10年来のお付き合い。今回は勝間さんが東京・市ケ谷の日大本部理事長室を訪れ、作家と理事長の“二刀流”で奮闘する林さんに、改革に懸ける思いを本音で聞きました。
不祥事への憤りをエッセーに書いたことが始まり
勝間和代さん(以下、勝間) そもそも真理子さんが日大理事長に就任するきっかけになったのは不祥事への憤りをエッセーに書いたことでしたね。
林真理子さん(以下、林) そう。普段からそんなに愛校心があったわけではないんですけどね。あのときはすごく腹が立って、「どうして私を理事にしてくれないの」って書いたんです。そうしたら、理事長選考委員会から連絡があって。まさか理事長とは思ってないからびっくりしましたけど。
勝間 打診されたときはどう思ったんですか。
林 まず、面白そうって。だけど「面白そう」では、来られた人もたまらないですから、やるからにはすごく頑張らなきゃって思いましたよね。失敗は許されない。(理事長の依頼を)断った人がいたとか耳には入ってきましたけど。選んだ人たちも思い切った決断をしたと思います。
勝間 引き受けたと聞いたときは文字通り、火中の栗を拾うという感じで、すごいなとしか思えませんでした。でも真理子さんは、私もご一緒させてもらっているエンジン(エンジン01文化戦略会議)で11年間、幹事長をやってきた経験がありますよね。非営利団体の経営という意味では全く同じですね。
林 規模は全く違いますけど、日本文芸家協会の理事長も務めてきました。そういうコツコツとやってきたこともきっと生きるんじゃないかなと。
体育会系の組織、想像以上に大変なことも
勝間 組織に入ってみてどうでしたか。
林 想像以上に大変です。日大は教職員が約7000人、学生・生徒は約9万6000人もいる、大きな組織。そしてすごく純血主義なの。大学だけじゃなくて中学、高校も日大付属で、祖父の代から日大出身とか、そんな人が本部にもたくさんいる。体育会系の組織ですよね。
勝間 創立以来ゼロだった女性理事を真理子さん含め9人に増やして(現在は8人)、精神科医の和田秀樹さんにも理事に入ってもらったんですよね。
林 和田さんみたいな“異星人”に入ってもらいたかった。今までほとんど質問がなかった理事会が活発化して良かったなと思っています。私もお勤めは何十年ぶりですけど、職場に仲間がいるのは楽しいことだなって。
勝間 徐々にいろんなことが変わってきたと思うんですけど、外から新しい血を入れたときに教職員の皆さんの反応ってどんな感じなんですか。
林 「えっ」と思っただろうけど、顔には出さないですよね。だから最初のスピーチで「皆さん、訳の分かんないおばさんが来てすごく不安だと思いますけど、ちゃんとやりますから心配しないでください」って、はっきり言いました。教育をテーマにした自著『小説8050』を450冊、自分で買ってサインして「私はこういうものです」って本部の教職員の皆さんに配ったの。著者だから1割引きで買えたけど(笑)。あとは対話ですよね。職員の方とランチ会もしています。
勝間 この6カ月で皆さん変わってきました?