40代あたりからガクンと体力が落ちたと感じたり、お肌のハリ・ツヤがなくなってきたりしたと感じることが増えていませんか? 「仕方がないよね」とあきらめるのはまだ早い。カラダは何歳からでも変えられるのです。それを体現する方々が日ごろどんなことを実践しているのか、その秘密をしっかり聞いてきました。

何歳からでもカラダは変わる

 手軽に楽しめる生涯スポーツとして人気の高いランニング。ジョギングを含めたランニング人口は1000万人を超えているといわれている。しかしその中で世界記録を狙える選手はほんの一握りだ。高校教師である弓削田眞理子さんは現在64歳で、60~65歳の部でフルマラソン世界記録を持つ。50代になってから「サブスリー」を達成した背景には、積み重ねたトレーニングと目標とする憧れの存在があった。

弓削田 眞理子
弓削田 眞理子
ゆげた・まりこ/川越女子高等学校教諭。世界マスターズ女子60〜64歳の部フルマラソンと1万メートルの世界記録保持者。1958年生まれ。中学時代から陸上部に所属、高校時代には800mでインターハイ、大学では1500mでインカレと日本選手権に出場。24歳でマラソンを始め、同年出場した東京国際女子マラソンで3時間9分21秒を記録。2019年下関海響マラソンで2時間59分15秒と女子60歳以上で初のサブスリーと世界記録を達成。20年の大阪国際女子マラソンでは2時間52分13秒と60~64歳台の世界記録を更新した

陸上を始めたきっかけは片思いの彼

編集部(以下、略) 60代でフルマラソンを3時間以下で走る「サブスリー」を達成したのは弓削田さんが初だそうですね。

弓削田眞理子さん(以下、弓削田) 初めてサブスリーを達成したのは58歳なんです。調べたら60代でサブスリーの記録を持っている人は1人もいなかったので、「この実力をキープしたら世界記録だ」と思いました。でも、そんなに簡単にいかないのが人生ね。

―― 58歳で自己最速ってすごいです。もともと走るのは好きだったんですか。

弓削田 中学で好きな男の子が陸上部に入るという友達からの情報で私も入部。でも彼は剣道部に入っちゃった(笑)。今さら辞められないので、陸上をやることになったんです。小さいときからスポーツは何でも得意だったので、練習したら短距離で県大会の決勝に残れるまでになりました。

 進学した高校は今勤めている川越女子高校です。文武両道を目指す学校なのでスポーツも盛んな一方、勉強も本気でなければついていけない。部活はやらなくてもいいかなと思っていたんですが、先輩に誘われて陸上部に。

 顧問の先生から「ライバルの少ない400mならインターハイに行ける」と薦められましたが、2年生のとき惜しくもインターハイを逃しました。その悔しさから練習に本腰を入れて、3年生のときに800mでインターハイに出場しました。

 大学は埼玉大学の教育学部で保健体育を専攻。同級生はそれぞれ野球、柔道、テニスなど専門の分野を持っているんです。私も一応陸上部に入ることに。女子1500mという種目ができて、これにピタッとはまり、全日本インカレや日本選手権にまで出場できるようになりました。が、国体は埼玉県の女子選手の枠が少ないために最終選考で落ちてしまいました。

 国体への心残りがあったんですね。教員になってからも部活指導の後1人グラウンドでトレーニングを続け、1年目で念願の国体に出場。6位に入賞して、これでトラック競技はやりきったと思えました。

―― マラソンとの出合いは社会人になってからですか?